デザインの話 Feed

2011.10.13

水張りのポスター制作

最近は 身体を大きく動かしてまでの仕事がないが

若い頃は 大きな寸法で制作することが多くあった

一般のデザインの仕事は

傾斜した製図板の置いてある机の上でするのだが

ポスターは床に置いたり 立てたりして制作する

狭い事務所の最大広い場所をさがして 

物を移動したりして 右往左往して仕上げていた 

台風で停電の時は 玄関先で仕上げた事も…あったなぁ

ポスター制作の場合 

まずB全判の板パネルを床に置いて 

ケント紙を水張りしていく

水張りと一言に片付けられないほど

小さな私には大仕事であった

パネルとケント紙の大きさを合わせて見当をつけておく

紙には裏表があり 見定めてから裏を上にして 

幅のひろい刷毛で水をたっぷり含ませ

中央から対角線に放射線状に塗って行く

塗りムラがないように丁寧に しかもすばやく

刷毛に水をつけては 腕から 身体から 足まで動かす

万遍に塗れたら 紙を裏返しパネルに合わせる

中央から やはり対角線に向けて

タオルなどで中に入った空気を抜きながら張り合わせいく

引っ張り気味にパネルの横を対角順にホチキスで止める

角部分の紙を綺麗に折り処理して

パネルより はみ出た紙は切り取る

水張り用のテープを水に湿らせ パネルの端を止めていく

余分に出てる所は裏にまわし処理する

紙は乾いてくると 失敗してるかどうかが分かってくる

パネルの角 どこか偏った引っぱり気味のしわが現れる

そうなると 使えない もう一度

失敗も何回もしているので お手のものだ

ポスターだけでなく 包装紙などのデザインも水張り

何回 水張りをしただろうか 何回 新人に教えただろうか

今となっては いらない技術だけど

やって見せてと言われれば 昔取った杵柄だ

今日の一枚(過ぎし日は… 宮島は色づいてるだろうか)


H231013


http://www.e-digigra.com/title_page/DG32dot.html

2011.10.06

昭和の道具はフォルムが素敵

イラストの素材用にと 制作していると

しっかりとした資料が必要になる

平成以前の生活小物や道具など 

掲載されている古い資料を見ていると 

『まあ 良く出来ている』と感心する

使用するには 今現在と比べると 

そりゃ今の方が機能的で便利だろうけれど

以前のものは愛着の湧くデザインが多く 製造された時は 

形もそれなりに しっかりとした意味があったと思う

きっと使用する時も丁寧に 

大事に 大事に使いたくなるものばかり

壊れても また修理して後世まで使いつづける

修理すると それにちゃんと応えて動いてくれる

今どきは修理する なんて言葉が無いみたいに

壊れたら買い替える 買い替えたほうが安く付くと言われる

『ここの小さな部品があれば また動くのに』ということが

製造してない為に 無惨にもあきらめて放かしてしまう

時代も変わり むかしの人から見たら怒られそうだ

鍋の底に穴があいても 修理してくれる人がいたし

靴底のちびたのを修理して ついでに磨いてもらう

修理すると 後何年かは保つ

自転車のパンクもすぐ近所に修理の店があったし

靴下の穴は 丸電球を中に入れて繕いでいた

こういった小さな修理も 今は見かけない光景

生活に関わる道具等を何もかも修理していたからこそ

愛着があり 物の大切さや思いやりも

自然に生まれてきたのだろう

不景気もあり もったいないの精神が 

今見直されているが とても良い事だと思う 

壊れたら 自分で直してみて

物の作りの良さと フォルムの素敵さを感じて欲しい

今日の一枚(存在感あり)

H231006


http://www.e-digigra.com/title_page/NEOKIRIE_index.html

2011.10.01

プリンターの機能はよくわからないが…

もう十数年前から プリンターにはお世話になっている コンピュータを導入するとセットみたいに  というか 一緒についてきて  これは必要ないからと外す訳にはいかない 脇役として パソコンの生み出したものを 画面どおりに 出力表示させる役目がある 画面どおりにいかないか どうか機能の問題があり 私にはチンプンカンプン よく理解できないが 本当は理解できる内容だけど 機械の事は億劫で 理解しようとしてない だけなのだけど… 最近のプリンターは 価格も随分安くなり 性能も極めて良くなって 紙詰まりもない こういう電子的な機械は 何にでも言えることだけど 初めの頃から 使う程にどんどん工夫され改良され 変遷の一途を辿ってきたのが分かる  10年ひと昔と言うけれど 10年経つと プリンターの変わり様も ものすごい ・ マッキントッシュのパソコンを入れた時 カラープリンターも必要かと一緒に買い込むが 主に金額は 今では買わないような破格価格! それでも手に入れたかったプリンターは… ドットインパクト方式で 印刷物に比べると 出来具合に差がありすぎ デザインカンプにも使えない 何の為にこのプリンターから出力しなければいけないのか 訳がわからなくなり 隅に追いやり使わなくなった 大きなスペースも必要で しっかりと要らぬ音も出して ジィーコ ジィーコ 『しっかり見ててね』と 言わんばかりに 時間もかかる  『お役に立たない 箱入り娘の金食い虫〜! 』 もうしばらくカラーはやめた 外注になる そして何年かはモノクロプリンターしか置かなかった ・ モノクロプリンターはコピー機より 出力させる枚数が多かったので活躍もした 地紋や飾り罫の素材を制作していると DTP用素材なので パソコン画面の中だけでなく プリンターで出してみて デザインバランスを確認しながら作業する ある日曜日も仕事してて 作った地紋が出力してこない 待っても時間が掛かりそうなので 少し出掛けてくる 帰ってプリンターを覗くが まだ出る様子がない プリンターの音は かすかにする 動いている  地紋はどこに留まっているのか  考えてみると しっかりと創り込まれた地紋は 主にキー入力で一発表示できる地紋なので ポイント数が多くて 出ようにも出れない状態だった それからポイント数は少なめに シンプル且つ個性的に プリンターからも早く出てくる素材集をと 思う間に… どんどんプリンターは進化していった あらよっと言う間に出てくる 3分間も待たない ・ 今日の一枚(出てこなかった地紋たち) H231001 http://www.e-digigra.com/FONIND.html

2011.09.30

地紋デザインの作成に至る

デザインをしてる時に 飾り罫の次に必要な素材は

背景に使う地紋のデザイン 

小さい模様からイラストの入ったものまで多種多様で

地紋を使って表現している媒体には

よく見かける新聞のタイトル文字の下に使うのが一般的

文字ばかりだと読みづらく 変化をもたらして読み易い様に

工夫されたのが シンプルで細かい連続模様の地紋

他にパッケージやラベルデザインのイメージに用いたり

カタログやパンフレット等のホワイトスペースの

バランスをとるポイントだったり

漫画のイラスト線画以外の背景効果に

奥行きを出す為や服装の模様に使われたり…

ここにも と気が付きにくい箇所にも地紋がある

デザインカンプを手書きで仕上げていた頃

地紋を用いて表現するデザインはとても難しかった

シルクスクリーンを使えるのは価格のとれる仕事の時で

ポスターカラーと面相筆で細かく描いたり

地紋が出来そうな素材を用いて 作ったりして

スタンプの様に押したり 何らかの工夫で表現していた

他の人たちは どの様に工夫してたのだろう?

他所のデザインカンプで 地紋を用いたのを見た事がない

版下には 主に写植で作られたものを用いていた

写植の見本帳を見て デザインにあう地紋を選び

地紋番号と級数ポイントを級数表で計り

スペースの大きさを指定して依頼する

あまり大きいと その分価格が掛かるので

大きなスペースは スクリーントーンを切り貼りして使うか

デザインスコープで 紙焼きして作り置きしたのを使っていた


デザインスコープの話
『デザインスコープは駆け抜けて行った』

パソコンで作業するようになり DTPで使う地紋が無かった

少しは素材集にあったと思うが デザインに合うのが無い

そこで 自分が作る他に 選択肢はない

布のパータンや加工された素材よりヒントを得たり 

昔の本から使えそうなパーツを組み合わせて

地紋デザインを創作していった

こんなのも地紋になる あれも地紋に それもと…

パーツを見ると 何もかも地紋の作成に繋げてしまい

毎日生活する中で 見るものすべて地紋に見えてくる

あれやこれやと 色々工夫して作っていた地紋が

どんどん溢れて いまや地紋も垣根を越えた

今日の一枚(これもパターンタイル)


H23930_2


http://www.e-digigra.com/DG25Web/DG25IND_IN.html

2011.09.28

間取り図に夢をのせて

バブルの頃は 仕事の内容に不動産のものも多くあり

マンションや一戸建ての建物の

カタログやパンフレット 折込チラシも手掛けた

その中に 必然と言って良いぐらい建物の図面がある

基本的に建物の外観のパースや間取り図は 

それを専門の仕事としていた人が描く

外観パースは正面からの一枚でいいが 

間取り図の場合 新築マンションは種類も多く

一戸建ては 2階3階立でも増えてきて

また チラシの場合は物件も沢山掲載するので

トレースする数も多くなる ひとつ受ける仕事でも様々である

デザインの仕事を受ける時 営業マンがパースも間取り図も

仕上がりを持って来るので デザインと版下を受けていたが

段々と費用がかかるので 外注はパースのみで 

間取り図をトレースする羽目になった

間取り図が上手くトレースする事が出来なければ

外注のままで済んだのだろうが…

ある日 間取り図を50戸とか100戸という仕事が入り

『どうするの?』

安く 早く 上手く出来てしまう牛丼屋のように

手早く やってしまうことになる

いつの間にか 間取り図だけの仕事も受けていた

早くするコツは 流し台 トイレ ドア等の決まった形は 

下じきのような塩化ビニールを切り抜き加工して作っていた

同じ形なので トレースするのも同じ大きさにして作業する

ドアや壁等はちいさい烏口コンパスをもっと加工し

サッシ扉などの2重扉は烏口コンパスを分解して

細い線が書けるようにした

あとは壁の中を墨入れしたり 紙焼きした文字を

貼り込んで仕上げする 

墨がはみ出たところは 

トレース紙のインクの乗っている部分をデザインナイフで削るか

ポスターカラーのホワイトを入れて修正する 

しかし 修正が入らぬようにするところに達成感がある

現在は パソコンで作業するので 

建物内の設備種類が多くなっても 一度作成したパーツを 

簡単にコピー&ペーストで仕上げてしまう

同じ間取り図でも 作業工程がまるで違ってきた

ああ何回 間取り図をトレースして叶わぬ夢を見たのだろうか

今でも 間取り図をみると

創造力が膨らみ 生活設計を立ててしまう

今日の一枚(間取り図で夢を)


H23928


http://www.e-digigra.com/DIGI3_IN.html