« 2011年10月 | メイン | 2011年12月 »

2011年11月

2011.11.30

控えめなトンボ罫

トンボと聞けば 誰しも思いつくのは

昆虫のトンボ  文具のトンボ鉛筆 童謡の歌の赤トンボ

歌謡曲のトンボもあり  年と共に 思いつくトンボが違う

一部の人たちは このトンボ…

印刷の版下などに使われるのに トンボがある

トンボの意味は 印刷の為に版下台紙に使われるアタリのことで

断裁するための線と色の塗り出し線がセットのコーナートンボ

多色刷りの色ずれをしない為のセンタートンボ

パッケージや折の入ったカタログ・DMなどの為の折りトンボがある

Photo_2

このトンボは0.28mmの細い罫を烏口で墨入れして引いていた

いつの頃か トンボシールが販売されて 

烏口の使えない人でも良いように便利になった

『何でも商売になるもんだなぁ』

トンボ罫ぐらい自分で引けるので要らないと思っていたが

新人デザイナーに版下をさせる場合

トンボごときで時間が掛かるし 失敗はするしで

結局 トンボシールを購入することになる

DTPの時代に移行して 版下は作成しなくなった

パソコンで入力作成し 入校データという 

トンボ罫は  トリムマークという

表に出ないトンボ罫ではあるが 役目は縁の下の力だった

しかし 今 トンボシールは引き出しの奥で…

今日の一枚( 色ずれも また面白い)

H231130


http://www.e-digigra.com/title_page/DG32dot.html

2011.11.29

コーヒーを飲んで思い出した ある出来事

デザインを受けて デザインカンプが決まると

次は版下制作に移る 手順として

まず自社で出来ない箇所の手配をしなくてはならない

外注の主な部分は写植と写真撮影・写真リースなど

デザインカンプの時点で コピー文字の入る箇所は

タイトル文字とキャッチコピーぐらいは 

デザインして収まる位置にレイアウトしている

カタログ等に入る文章は 原稿で渡されるから

前もってページ割りしておき デザイン的に見栄え良くし

説明文や細かい文章は ボーダーの線のみで現し

又は 同じような大きさの文章をダミーとして

逆さに貼付けて イメージ感を出していた 

ボーダーの箇所の 文字を写植指定する

文字数を数え このボリュームなら

このぐらいの級数で 行送りで この書体でと

ちゃんとページごと綺麗に収まるように指示して

原稿とカンプを外注先の写植に出す

 ※写真植字機のことを略して【写植】と言う
 写真技術を用いて必要な文字を1字づつシャッターを押しながら
 印画紙に焼き込み現像して写植文字に仕上げる


その間にカタログの規格版下台紙に

線画を墨入れし図版を張り込み数枚の版下を作成して置く

外注した写植文字が出来上がってくるのを待つのみ

数日後 写植が出来上がってくる

さあ これから最後の文字貼りして仕上げに入る

『うん? こういう指定したはずはない』

文章が綺麗に丸い形をなしている

よく見ると デザインカンプの文字指定した上に

うす~く まぁるい枠が… いつから…

今日の一枚(コーヒーの輪染み)

H231129_2

http://www.e-digigra.com/catalog_page/cata_KIRIE3.html#

2011.11.28

牡蛎産地直送便

『宮島に 紅葉がりに行こう』

相方の言葉で 『いいよ』

今日は時間をとって 家事も骨休めする

広電の電車にゆられ ゴトゴトと音と共に

変わる景色を見ながら のんびり

昔の頃を思い出す あまり海が見えないなぁ

暖房が少し利いていて 眠くなり 

頭がゆれる 心地よさ… 

と 流れる景色は にぎわう競艇場を通り 

電車は 到着駅宮島口へ 

今が見頃なのだろう とても人が多く

船に乗り込む人がごった返している

二つ乗り場がありJRと松大船 

隣同士で乗り場も降り場も運賃も変わらない

ひとつ違うのはJRの船は 鳥居の近くを通ってくれて

前からの鳥居が見え 良い写真が撮れる事

久しぶりの宮島である

いつも 鹿が迎えてくれる

誰彼もと餌を与えなくなって

毛並みが綺麗になったような気がする

お土産通りは人の波でスムーズに歩けない

紅葉まんじゅう 焼き竹輪 焼き牡蛎

あなご飯 焼き栗 どこからともなく匂いが流れてくる

昼時にかかっているので 人の行列も長い

並ぶのは今度にして 生の牡蛎を購入して帰る

今年の紅葉は遅れて赤くなった分

例年のように綺麗さは ややといったところ

それでも所々 見応えのある風景はあった

今日は紅葉より 牡蛎の収穫だった

『朝水揚げして身を取り出したばかりで新鮮よ』

『地場の牡蛎で直接持って来たから安いよ』

『4日は生で食べられるよ』

スーパーで売られている牡蛎より安く

新鮮さの度合いが見て取れる

たてつづけの売り言葉にのって買って帰る 

電車に乗ってゆられて 産地直送

今夜は美味しい生牡蛎を お家で堪能

味が ち が う!  美味しい!

今日の一枚(紅葉より牡蛎 地元ならではの贅沢)


H231128


http://www.e-digigra.com/title_page/dg1_in.html

2011.11.26

紙見本帳

紙には 随分お世話になってきた

ケント紙からトレーシングペーパー クロッキー帳

コピー用紙 段ボール紙 色紙 特殊紙 エンボス加工紙

デザイン制作も他の業務も紙無しでは やっていけない

沢山使うので 紙代もバカにならないから

無駄の無い取り方を心がけていた

ティシュペーパーのような使い方は到底出来ない

紙は大切な物と 昔は思われていて

教科書も雑誌も新聞紙も大切にされていたし

そういう生活の中で育った

小さい紙くずみたいなものまで 保管して

ラベルなどの小さい制作物に廻していた

コピー用紙も 失敗紙はもう一度裏を使うほど

節約して 毎日沢山使う量を何とか抑えていた

紙メーカーからも紙の見本帳が 毎年毎年届き

新しい種類の紙の案内があって

感じの良い紙に出会うと今度はこの紙を使い

デザインしたいなぁ と思わせられた

パッケージ カタログ DM  包装紙 ラベル

ポッポッポッと アイデアが浮かんでくる

バブルの頃は 紙も大量に出回っていた

一つの紙に厚みの種類があり 色の種類があるから

紙見本もどんどん増えて行く

引き出しに収まらないで 棚に陳列していた

デザインが決まり印刷に廻す段階になると

棚から何種類かの紙見本を取り出して

見比べて決める 『これしかない!』 

決まった紙チップを切り取り版下に貼付ける

・ 

今 紙見本は 使っていない 

棚から整理され必要最低限だけ残り 後は処分

もう 使わないかもしれない

しかし もう少し 引き出しに入れておこう


今日の一枚(ここまで と断ち切れないものがある)

H231126

http://www.e-digigra.com/title_page/NEOKIRIE_index.html

2011.11.25

菓子袋のデザインカンプ 今昔

もう今から 何十年も昔の話である

菓子袋などの透明ビニール袋も デザインしていた

現在のデザイナーには

到底考えられない方法でカンプ作成していた

デザインは他の商品より 存在感があり 目立つように

商品自体の特長を考慮して 進めて行く

一通りデザイン 配色を考えると

まずデザインを起こしたものを 

袋と同サイズの大きさで 下絵を書く  

薄いトレーシングペーパーに

0.1〜2mm位の線で 

袋のサイズ等アタリ罫(輪郭)や模様を縁取る

お菓子の文字もアタリ罫で  

一文字が2〜3mmのコピー文は一筆書きで書く

細かい地模様は 表現出来ないのでデザインをさけるか

又は その模様の印刷してあるものを部分的に使う

書きあがったトレーシングペーパーに

ルミラーというポリエステルフィルムを裏側からあてて

その上にスワンペーパーを貼付け

ライトテーブルの上で作業する

トレーシングペーパーに書いた線が透けて見えるので

その線をたどりながら デザインナイフで切っていく

ここがポイントで スワンペーパーのみ切っていく

ルミラーは最終的にはお菓子袋の代わりとなるので

決してルミラーに傷つけては いけない

スワンペーパーの紙一枚の感触が

分かれば 上手く作業出来る

次の手順は ポスターカラーで色づけしていく

お菓子袋に使われる色は特色で4〜5色多くて7色くらい

やはり色数が多くなるとコストが掛かるので抑えたデザインに

ポスターカラーの色も調合し 

ピースガンを使うので詰まらないように漉しておく

ポスターカラーをゆるゆるに融き過ぎると

スプレーするときに水滴のように垂れてしまう

ポスターカラーは余分に吹き付けてしまうと厚くなり

ルミラーから剥がれてしまう 適度を見極める

色づける順番を間違えないようにスプレーする 

まず文字の部分から

スワンペーパーを剥がして カラースプレー

模様等手前にくるデザインから順序よく

スワンペーパーを剥がしスプレーの繰り返し

小さい文字は鏡に写ったように 逆さの文字を面相筆で書く

色をつけた部分の全てに 

最後の仕上げとしてホワイトカラーで覆う

平面で作業の状態からお菓子袋として形づける

デザインカンプ 終了

ひとつ ひとつがとても気の使う作業で

今は こんなやり方はない 

簡単にパソコンで細かいところまで一気に仕上げ

フィルム出力で  形を作って出来上がり

昔の作業は 苦労話で花が咲く

小さい所のこだわりが合ったりして…

ところで今現在 まだ現役で分かる人 何人いるのかしら


今日の一枚(デザインの道具たち)


H231125_2


http://www.e-digigra.com/catalog_page/cata_DG08.html