『形あるものは 壊れる』
こう言ったことで 怒られる
と 言うのも 言っていい人と
その場で 言ってはいけない人がいるが
その言ってはいけない 当事者の私が
その言葉を言い放ち 怒らせてしまった
反対の立場の私でも こう言われれば
やはり 怒ってしまうだろう
でも なぜか 言葉にして出てしまった
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事のはじまりは 相方の作った陶芸にある
いつも 丁寧に時間を掛けて作る
まず最初に B5版のクロッキー帳に
アイデアの出る度に すぐ書き留めている
描いてあるいくつものデッサンした中から
ページをめくり その日作るのを決める
土を丁寧にこねて まるめた土を電動ろくろの上に
気持ちを集中させて 形成している
作られて素焼きの後の出来具合
その後の絵付けにも気を配る
グラフィックデザイナーならではの腕をふるい
陶芸に取り組んで 丁寧に器をつくる
それを 背中ごしから見ているので
出来上がったものは どれも大切で
とてもじゃないけど 日常あまり使えない
相方が使ってほしい という気持ちは分かるが
何せ私自身 欠けたりしないか 壊しやしないか
そういう気持ちが 使うのをためらわせる
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それでも よくサイドテーブルの上に
小ぶりの細いカップを置く
中にマドラーを入れてしまうので
余計に高さが出て 倒してしまわないか気になり
よく棚の方に移動していた
移動させる度に また元の位置に戻っている
また あぶない危ないと移動させる
今日も 移動させておいた
食器を片付けるとき 箸が何かにあたって落ちた
それがスローモーションのごとく落ちて 目に入った
『あっ』
やはり あの陶器だ
足部分が壊れてしまった
『気をつけて 行動できんの?』
『なんで ここにあるん?』
『さっき 置いた』
『そこに置くのが悪いよ 移動させといたのに』
『自分が壊したのに 自分のせいではないの?』
『壊れるから そこに置いとくほうが…』
『ここに置くなというの』
と 壊れた破片を拾い のり付けしている
『形あるものは 壊れる』
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『そういう言い方は ないよ』
相方の背中に 心の中で 『御免なさい』
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