文月の走馬灯
7月の暦
文月は 七夕の行事にちなみ 名がついたと言う
七夕は義母の命日にあたり15回忌になる
この間のような錯覚をするが気がつくと
もうずいぶんと時間が流れていた
義母の住んでいるところとは2時間離れている
胃癌だといわれ病院で担当医から詳しく病気の状態を
聞くために仕事を休んで2人出かけて行った
もう歳なので体力的に手術は出来ないといわれ
あの頃はそういうものなのだ 覚悟だと思った
その後 病室で何も知らない義母に会う
あんなに食べることが好きで料理上手な義母が
どんどん痩せていきテレビで料理番組を見るなり
食べたいのに食べられないと愚痴っぽく言っていた
格好つけて顎髭を生やし始めた息子を怪訝な目で見て
『 あまり好きでないね 無精な感じがするよ 』と
剃るように言ってあげて というようにつぶやいた
入退院を繰り返していたが数ヶ月後に
また調子が悪くなり入院し面会に行った
昼に行き しばらく病室にいた 義母さんに話しかけても
私のことは分からなかったが 自分の息子の手は
しっかり握り話しかける声を聞いていた
その後また 2時間かけて家路に着き
気持ちも沈んだまま 夕食を済ませた
その夜 帰った後にすぐ具合が悪くなりそのまま・・
亡くなった と電話があった
すぐにまた折り返し義母さんの元のいくこととなる
あの時 帰る間際に 『 また来るね 』と
主人は義母さんの耳元で言った・・・
あの日まで 息子が来るまで
きっと最後に息子に会うために混沌としながら
頑張って生きてたのだと思う
18歳から郷里を離れた息子のことが
気がかりでならなかっただろう
もうずいぶんと おじさんなのに親にとっては
いつまでも子供のままなのかもしれない
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七夕は1年に一度彦星と織姫の出会える日なのに
その七夕の日に悲しい別れがあった
癌になると多くの人が告知で悩むことになる
本人に知らせるか 否か
海老蔵さんの奥さんは癌と知って頑張って生きた
自分らしく生きることを選んだ
義母さんの場合は
自分らしく生きている生活なのに告知すると
止めを刺すようで 生きがいに酷な気持ちを強いるようで
知らない方が良かったのだと思う
義母さんは気づいていたかどうか定かでない
夏が来る前に いつも迎える日
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上の暦の中のテーブルセットイラストは
くねくね針金のような表現をしたイラスト素材です
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デザイン素材・イラスト素材は
☆ ★ 【MC DESIGN LTD】 ★ ☆
デザイナー御用達素材
☆ ★ 素材のデジグラ工房 ★ ☆
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