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2013.09.12

町の風景が変わってく



近所の角地に 小さな印刷屋さんがあった

この印刷屋さんは 名刺や葉書など細かい印刷と

一色刷もののチラシなどを手掛けていた

活版機械が入れてあるので 動きまわるスペースもなく

それでも表の看板だけは堂々としていて

道行く人の目印になっていた

『今から開店します』というように

朝早く シャッターを上げる音がして

機械がカッタン カッタンと

同じ調子で音を立ってて廻っていた

夫婦で毎日 インクまみれになり

インクで充満させた空間で 作業されていた

回覧版を持って行くと 奥さんの姿が見えない

旦那さんが『お母~ちゃ~ん』と呼ぶ

『は~い』と奥から声が聞こえた

その間も 機械の側で カッタン カッタン

大きな声で話さないと 聞き取れないほどだ

そういう仕事場で 夕方まで働くと

『今日はおしまい』というように

シャッターの降りる音がした





晩秋に近づくと 1年の掻き入れ時とばかりに

より一層 機械の音に拍車が掛けられた

年賀状依頼が多い時には それで良かったが

パソコンが普及して 企業も個人の年賀状も

段々と方向が 変わってきた

ずーとこのままで との思いとは裏腹に…

ITの波にのまれて 不景気の波にのまれて 

畳むしか方法が無く もうそろそろ引き際 

と 考えていたのか定かでないが…





それから何年か経ち 土地は更地になる

1週間のうちに ブルトーザーで家が壊されると 

今まで作り上げた その場での歴史は幕を下ろし

新たにその地で 歴史がつくられる

【男はつらいよ】の印刷屋のタコ社長のように 

『忙しい 忙しい』と汗を拭きつつ 

『もうかりまっか』『ぼちぼちでんな』

納期に追われる話をしていた頃は セピア色になる

町にひとつはあった小さな印刷屋さんは 

昔の町風景の一部であった





今日の一枚

(年賀状を出すポストも昭和のシンボル)

 

H250912

 

上記のイラストは

DIGIGRA PICTURE 29~31/KIRIE系イラスト

建物・風景・昭和風生活道具の切り絵風イラストです

収録内容がすべてご覧になれます。

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