無になれる
陶芸で土にさわっていると
一瞬だが 気持ちが 無になる時がある
その時だけ気分がすごく楽になる
子供の頃 住んでる所は山の上で
山の土が粘度質だったのか 土だんごをよく作って遊んでた
手に入る大きさの土を 手の中でコロコロするだけなのだが
気持ちはしっかりと まるくなーれ まるくなーれ と
呪文をかけて コロコロする
手の力が少しでも偏ると ひびが入り歪な形となる
何個もつくっていると 要領を覚える
最初は力で形をつくり 少しづつやさしく転がす
時間をかけてコロコロして 凸凹もなくなり きれいな丸になる
今日の遊びは 終わりというところで
山すその自分の秘密基地に穴をほり 土だんごを埋めておく
次の日も また出して少し固くなっただんごを 手の中でコロコロする
だんだんと固くなり 板切れや石のつるつるした面でだんごを磨く
土だんごが光ってくる すごい宝ものだった
毎日まいにち 無心でそれを沢山つくっていた
子供の目で見ても 同じ大きさはひとつとしてない事は わかっていた
あの頃は 同じ大きさにつくるということに こだわっていなかった
同じでないといけないなどと頭になかった
ひとつひとつが 大切なだんごだった
あれから あの土だんごは…
土の中に閉じこめられたままなのか
器をつくっても 未だにひとつとして 同じものはない
今日の一枚
【DIGIGRA PICTURE 24より】