春の高校野球 しがない会話

『 高校野球は広島から始まるよ 』

　

とテレビをつけると  もう負けて六回を過ぎていた

『 呉の高校だってよ 』

『 ICHIKURE？ イチクレって 』

『 第一呉高校じゃろう 』

『 第一ってあるの　第二とか・・ 』

『 もしかしてイチは市立のことじゃない 』

『 そうかも知れん 』

などと学校名を話題にしながら見ていた

　

しばらく見ていると市呉の頭の爽やかなこと

『 一部刈りかね  皆 頭が青いよ 』

『 みんな気合いが入っているね 』

『 応援団もみんな・・青い 』

『 青いと必死さが伝わってくる 』

　

選手の名前を知らないので特徴を話題にして

『 あの選手のフォーム見て 』

『 すごく低いよ　しゃがんどるようなフォームじゃ 』

『 あれでよく打ててる 』

『 すごいね・・ 』

『 しゃがみ込み打法なんてね 』

『 ・　・　・  』

『 ストライクゾーンはどうなるんだろうか・・ 』

　

７、８、９と相手チームのピッチャーの投げる時間が長い

『 代わりのピッチャーが出てきた 』

『 あのピッチャーは一塁に行ったよ 』

『 えっ ピッチャーが一塁守ってもいいの 』

『 それなら大谷選手も一塁守ったり

　　　ピッチャーしたりすればいいんじゃないの 』

『 プロじゃそう簡単にいかないよ 』

知らなかったことがまた一つあった   

ピッチャーがどこを守っても入れ替わっても

ピッチャーに戻ることができる

ということでコロコロとエース級のピッチャーは

出ずっぱりのままで休み休み三回も交代し

市呉のピッチャーと同じ球数位投げた　

　

市呉のピッチャーは一人で160球を投げきった

この粘りの差が出たのか知らないが

延長戦の十二回の表に２点を取ったものの

その裏で至学館の勝つであろうチャンスに

『 ３塁抜けそう　 取った 』

『 あっ　ボール落した 』

『 ３塁に行かれてしもうた 』

『 負けるかも 』

『 えっ　守備妨害？ 』

『 勝ったの・・ 』

『 勝った勝った！ 』

＊

甲子園に初出場した呉高校が第一試合に勝った

8回が終わった時点であと３点取らないと勝てない

『 もう負けるかも 』　と思った試合で逆転勝ちすると

こんなに気分の良いことはない

最後に勢いの増した諦めない至学館が 後少しという時

守備妨害によりあっけなく負けが決まってしまった

敵チームとしてはなんとも納得がいかない

試合だったかもしれない

一瞬のことであり　攻める方も守る方も

どっちもどっちと言うような場面でも

審判員は冷静であり即座に判断を下した

ICHIKUREの背中は直様ホームにずらり並ぶ

対戦相手のチームは並ばない

まだ３塁のベースに選手が佇んでいる

主審がマイクを持って説明の末に

納得まで時間がかかりそうな顔のまま

試合は終了し　甲子園の砂を存分に持って帰った

高校野球は何が起こるかわからないから

          【　面白い！　】

上の応援文字は春に向けて新しく作成している素材です

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