デザインスコープは駆け抜けて行った
今のデザイナーは、
パソコンでの仕事が主流になっているから
デザインスコープは知らないだろうな
画期的な簡易製版カメラだった
どこのデザイン事務所も1台は、置いてあったと思う
仕事を独立して道具を揃える時は このデザインスコープは
まず必要な道具として 筆頭に入れていた
当然 仕事として初めてのローンを組む事になる
大きな機械で重くて 一度設置したら移動はできない
暗室をセットしなくてはならないし とても場所をとる
小さな事務所でド〜ンと威張っていた
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デザインスコープが出来る前は
皆どうしていたのだろうか?
私がデザイン事務所に入った所は暗室はあった
デザインしたものを版下にする時
清書して墨入れし書き上げたロゴやイラストは
台の上に置きカメラで撮っていた
カメラをセットして 写真を撮り暗室で現像して
フィルムから印画紙に 焼き増しをするのだ
下手くそだからピントが合わないし
暗室の中で温度を計って現像液を作ったり
デザイナーもここまでしてたのよ
版下作業は時間がかかるものでした
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それが救世主が現れるがごとく
機材展にいってデザインスコープと対面
『すごいものが現れた』
大きなカメラがうつぶせに寝てる状態というところか
現像液も定着液も印画紙もセットである
このデザインスコープとセットの備品に
仕事とはいえ随分とつぎ込みつつ…
ところが今度は暗室でなく
明室で作業が出来るデザインスコープが現れた
印画紙も現像液も機械の中に入ってて
両手を機械の前の穴に突っ込んで作業する
上のガラスから覗くように印画紙をセットする
フォーカスするのもボタンになって
どんどん便利になっていった が衰退のはじまり…
覆い被さるようにパソコンも入ってきて
少しづつ使わなくなっていく
場所をとっていたデザインスコープの処分を
考え出したとき 時代は過ぎていった
あんなに頑張って仕事をしていた証しの
デザインスコープは解体して 業者の手に
さよなら デザインスコープ…
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今日の一枚(あの頃 輝いてた)